宮崎県都城市で創業から110年の歴史を誇る、霧島酒造株式会社。同社は、霧島酒造の想いや考えをさまざまな切り口で体験できる拠点として「焼酎の里 霧島ファクトリーガーデン(以下、霧島ファクトリーガーデン)」を運営している。
年間約40万人が訪れる同施設は、広告出稿やPRによる情報発信と、Googleビジネスプロフィール(以下、GBP)の運用などによって認知拡大を図っている。
2026年には、ローカルミエルカを本格導入(無料版から有償版に切換)。レストランやショップのほか、レジャーエリア、グラウンドゴルフコースなど、施設内7スポットのGBPを一括管理している。2026年9月からは、注力したいと考えていたクチコミの対応も始めた。
霧島ファクトリーガーデン事業本部の大沼氏に、GBPとローカルミエルカの活用についてうかがった。
【目次】
認知獲得の「受け皿」としてのGoogleビジネスプロフィール
霧島ファクトリーガーデン事業本部で、同施設の広報・広告出稿・SNS運用などを担当する大沼氏は、KGIとして来場者数を追う。
来場者数を伸ばすうえで課題となるのが、施設の認知拡大だ。大沼氏は広告出稿やPR、SNSでの発信を通じて、施設を知ってもらう機会を増やしている。
こうした施策がどれだけ来場につながったかを、直接計測することは難しい。そこで同社は、自社サイトやSNSの表示回数、そしてGBPの閲覧者数を認知の指標として扱い、GBP上でのユーザー行動を、興味を持った層として定義する。GBPを認知の「受け皿」として位置づけているのだ。
同施設への年間約40万人の来場者はほぼ国内客で、地元をはじめとする近隣からの来訪が中心だ。旅行の第一目的地というより、景勝地などを目指す道中に立ち寄る施設として選ばれることが多い。旅程を組む段階や移動中に参照されるGBPが、来場を左右する接点になるという見立てである。
「GBPは、認知や来場意向ありなど様々なフェーズのお客様にリーチするための重要なツールの1つだと感じています。毎月、表示回数やユーザー行動数、クチコミ数、クチコミ評価などを分析し、数値の変化から来場者の傾向を読み取るよう心がけています」(大沼氏)
複数スポットの数値を1つずつ確認し、Excelにまとめる日々
霧島ファクトリーガーデンは、1996年にオープンした霧の蔵ホールを起点に、霧の蔵ブルワリーや工場見学施設が順次開設され、2019年に現在の名称へリニューアルした。
2021年よりGBP(当時はGMB)の管理を始め、翌年にはデータ分析にも取りかかっている。

しかし、各スポットの数値をひとつずつ確認してExcelにまとめ、全体の集計と個別の分析を行う作業に工数がかかっていた。必要最低限の分析はできていたが、具体的なMEO施策につなげるためのデータ分析や、それに伴う作業負荷が課題だった。
そこで、MEOツールを検討し、ローカルミエルカの無料版を導入したという。ビジネス情報の一括編集のほか、閲覧者数やユーザー行動をまとめて確認できる。Excelでの手集計からは解放され、GBPの数値を日常的に追える状態になった。
決め手は「未対応だった領域」をカバーする機能の幅
ローカルミエルカの無料版を1年ほど活用するなか、より広範囲のデータ収集やクチコミへの対応、施策の着手のため、大沼氏はあらためてMEOツールを検討した。
他社ツールとの比較も行った結果、ローカルミエルカの有料版を選んだ決め手は、次の3点だ。
1つ目は、これまで対応できていなかった領域をカバーする機能がそろっていたことだ。
ローカルミエルカの有料版では、予約投稿やSNSとの連携、複数店舗への異なる内容をエクセルで一括投稿できるなど、一括管理の機能がより向上している。
また、マップ順位レポートとして、計測キーワードの平均順位の推移や指定したキーワードにおける各店舗の順位推移なども確認できる。
大沼氏が取り組みの必要性を強く感じていたクチコミに関連する機能も豊富で、AI分析やクチコミ一括編集・返信など、効率的に運用できる。

2つ目は、UIの使いやすさだ。 他社ツールと比較した際にも、操作のしやすさは明確な差として認識された。
3つ目は、導入時の学習コストの低減だ。
「無料版でローカルミエルカの使いやすさを実感していたことは大きかった」と大沼氏が話すように、有料版に切り替えても基本の操作方法を学び直す必要がなく、導入時の学習コストが低減できる。
使い慣れたツールを活用しながら、すぐに具体的なローカルSEO施策が実行できる利点があった。
インサイトの数値を、流入キーワードで裏づける
有料版の導入後、大沼氏がもっとも頻繁に使っているのがインサイト機能だ。
インサイト機能では、ユーザー行動のほか、GBPの閲覧者数をGoogleマップ経由とGoogle検索経由、モバイルとPCに分けて把握できる。
「UIがとても見やすいだけでなく、最大18か月(※)の期間をさかのぼって確認できるため、分析や振り返りがやりやすくなったと感じています」(大沼氏)
※インサイトは店舗追加日を基準に過去18か月分のデータを確認可能


大沼氏は、月単位の分析を前提に、前月比や前年同月比など複数の軸でデータを確認し、GBPの傾向を読み取る。
もちろん、インサイトの数値だけでは、変化のくわしい背景まではわからない。そこで大沼氏が組み合わせているのが流入キーワードだ。
「流入キーワードは、インサイトの数値を裏付ける情報として活用しています。また、計測キーワードを関連ワードでグルーピングし、その流入が確認できる点も非常に役立っています」(大沼氏)
広告とSNSが、マップの数値を動かす
インサイトで数値を追うなかで見えてきたのが、広告出稿とGBPの関係だ。
霧島ファクトリーガーデンの広告は、おもに九州エリアに向けて出稿している。広告に触れてから実際の来場までには時間差があるため、ゴールデンウィークなど来場のピークとなる時期の1か月ほど前から配信を始めるという。「出稿した年としなかった年を比べると、指名検索の数値には差が出ている」と大沼氏は話す。
もうひとつ、GBPの数値の変化に寄与していると見られるのが、SNSとの自動連携だ。同施設のSNS運用は内製で、投稿は月10本以上にのぼる。これをローカルミエルカでGBPと連携することにより、情報発信が効率化できる。

「GBPとの自動連携によってSNSの投稿がMEOにもつながり、流入の幅が広がったのではないかと考えています。ローカルミエルカの導入で、見える・追える数字や情報が格段に増えました。GBP活用の可能性が広がったと感じています」(大沼氏)
今後は、インサイトで見えた変化の理由まで踏み込むことが次の課題だ。流入キーワード分析の精度を高めるとともに、マップ検索順位の計測を運用に組み込んでいく。
クチコミと来場者アンケートでは、集まる声が異なる
さらに大沼氏が注目するのは、GBPのクチコミ件数と評価だ。
霧島ファクトリーガーデンには、クチコミの投稿を促す働きかけをしていない状態で、月40件前後のクチコミが集まる。
同施設では、GBPのクチコミとは別で来場者アンケートを実施している。店頭のQRコードからフォームに回答してもらう方式だが、アンケートとクチコミでは集まる声の性質が異なると大沼氏は話す。
「来場者アンケートは施設に向けて直接いただく声、GBPのクチコミはこれから来られる方に向けて書かれる声です。宛先が違うので、集まる内容も自然と変わってきます。
クチコミでいただく率直なご意見からは、私たちも多くを学ばせていただいています」(大沼氏)
クチコミは来場者のインサイト分析にも役立てている。内容は施設内で展開し、接客に関連する内容は日々の応対の参考につなげている。商品開発やマーケティングの部署にも共有することがあるそうだ。
AI検索で高まる第三者評価。クチコミ返信に着手
さらに、クチコミへの返信にも取り組み始めた。クチコミへの返信は、GBP運用において基本とされる対応だ。大沼氏も以前から必要性を感じていたが、手が回らずにいた。ローカルミエルカの有料版を導入した決め手のひとつに、クチコミ関連の機能を挙げていたのもそのためだ。
着手を後押ししたのが、生成AIの広がりによる情報検索の変化である。近年、旅行先を調べる際にAIに相談する人が増えており、その回答にはGoogleマップの情報も参照される。
「Googleアナリティクスで見るかぎり、現時点ではAI検索の影響を大きく感じていません。しかし、AIモードなどで『宮崎県のおすすめ観光スポットは?』など検索されている可能性は高いですし、データとして表れる手前でAIが使われているのではないかと考えています」(大沼氏)
クチコミへの返信だけが、検索結果やAIの回答に直接効くわけではない。それでも、返信のあるクチコミが増えていくことは、施設の姿勢を示す情報として残る。
「チリツモな施策ですが、AIの台頭により第三者評価がより重視される時代になっていきます。クチコミ数の増加や返信対応を通じて、情報の信頼度を高めていきたいと考えています」(大沼氏)
世界中から人が集まる旅の目的地にしたい
今後の霧島ファクトリーガーデンの展望を聞いた。
霧島酒造の看板商品である黒霧島は、1998年に発売された。2000年代の焼酎ブームで焼酎ファンは全国に広がったが、当時の中心層がそのまま年齢を重ね、現在のメインユーザーは60代以上となっている。
一方で、霧島ファクトリーガーデンを訪れる層は20代からと幅広い。工場見学を入口に、焼酎を飲む人に連れられて訪れる若い層も少なくない。施設での体験を通じて、メインユーザーにはより好きになっていただくことはもちろん、焼酎ユーザーそのものの若返りにも寄与したいと大沼氏は考えている。
「霧島ファクトリーガーデンの存在意義は、焼酎を知り、楽しみ、焼酎をもっと好きになれる場所であることです。焼酎というと、男性や年配の方が飲むイメージがありますが、性別や世代を問わず、明日からの1杯がもっとおいしくなる体験をお届けしたいと思っています」(大沼氏)

大沼氏が目指すのは、霧島ファクトリーガーデンを宮崎観光の目的地にすることだ。日本全国だけでなく、世界中から人が集まる場所になれば、地域も盛り上がっていく。
立ち寄り先の候補から旅の目的地へ、その位置づけを変えていくためにGBPの運用が重要だ。「霧島焼酎のユーザーだけでなく、焼酎業界全体が霧島ファクトリーガーデンを機に盛り上がってほしいです」と大沼氏は語った。

















